飛距離100m
沖目を狙う場合にはメタルジグ、というのが数年前までのセオリーだったが、ここ数年うちに出てきている遠投用のヘビーシンキングミノーはメタルジグ同等の飛距離が出る
似たような飛距離が出るが、使い方は全く違う
双方の特徴と、サーフヒラメでの使い方の違いを解説したいと思う
サーフヒラメ用のメタルジグ
スピンビームから一気に広まったヒラメ専用メタルジグ
昔からサーフではメタルジグは使用されてきたが、フロントフックが搭載されたスピンビームが発売されて以来、一気に各メーカーからサーフ用メタルジグが発売される
特徴はフロントフックを搭載し、リトリーブで攻める事を中心としたメタルジグだ
動かさないと釣れない、という変なイメージを払拭させ、1投目からキャストするルアーにまでなった
メタルジグのタダ巻きでヒラメが釣れる
実は、メタルジグはミノーよりも動きは大きい
大きくローリングしながら小さなボディを翻してフラッシングする
これは昔からそうではあったが、フロントフックを搭載したことで、ミノーのような使い方ができる、という安心感を生んだ
動かすメタルジグからタダ巻きするメタルジグにイメージが払拭された
100m沖をタダ巻きで狙うヒラメ
サーフヒラメブームで相当数のアングラーがサーフに犇めくようになったところもあり、手前のポイントは叩かれてしまい、自然に竿抜け(誰も叩いてない場所)ポイントを狙うようになる
そこで、メタルジグで超遠投、しかも、誰でもできるタダ巻き、デイゲームでも普通にヒラメが狙えるようになり、メタルジグでのヒラメ攻略は既に普通の事になっている
サーフヒラメ用のヘビーシンキングペンシル
シースパローの登場
昔から1オンス(28g)程度のヘビーシンキングペンシルはあったが、サーフヒラメ専用としてはシースパローが最初だったと記憶している
スピンビームもシースパローもシマノのサーフヒラメ用ルアーで、堀田氏監修の熱砂シリーズだ
スピンビームとは違い、シースパローはフロントフックがなく、テールフックのみのセットになる
AR-Cという重心移動システムで、同じ重さのメタルジグ並みの飛距離が出る
ぶっ飛ぶ君95Sの登場
更に驚く飛距離のぶっ飛び君95S
ジャンプライズから発売されたヘビーシンキングペンシルだが、シースパローよりも飛ぶ
しかも、固定重心のタイプで、シースパローよりも安定した飛距離が出る
既にサーフでのヘビーシンキングペンシルは100mという遠距離を意識できるようになった
メタルジグとヘビーシンキングペンシルの違い
飛距離は無風状態では同等
無風や追い風の状況では、ほぼ同じ程度の飛距離が出る
横風や向かい風の場合は、ヘビーシンキングペンシルが1割~2割程度飛距離が落ちる
見た目の大きさの違い
メタルジグは7~8cm程度が多く、大きくても9cmまでがほとんどだ
ヘビーシンキングペンシルは9cmが多く、12cmや14cmという大きなサイズも発売されている
単純に、大きさでアピールできるのはヘビーシンキングペンシルになる
有効レンジの違い
レンジは明らかに違ってくる
メタルジグはほとんど底層から外れない、言い方を変えれば、外せない
ほぼ底層を棒引きする事になる
ヘビーシンキングペンシルはロッドを立てればかなり表層までリトリーブできるが、これも逆に言えば、テンションが少しでも掛かると底層から外れやすいとも言える
底層安定 = メタルジグ = レンジは底層一定
表層から底層まで = ヘビーシンキングペンシル = レンジが外れやすい
サーフヒラメ攻略でのメタルジグとヘビーシンキングペンシルの違い
全く違うメタルジグとヘビーシンキングペンシル
同じ飛距離が出る重量系のルアーだとしても、メタルジグとヘビーシンキングペンシルは全く使い方が違う
もちろん、同じような感覚で使う事も出来るが、全く違う性質を持つため、できれば全く違う使い方をする方が、数多くキャストする理論にも当てはまる
メタルジグは「線」の攻略になる
メタルジグの特徴として、シルエットが小さく、重い、というのがある
これは、海流や風や波に影響されにくい、という利点がある
しかし、この利点は欠点にもなり、少しの流れに対しては反応が鈍い、という事になる
レンジが外れにくく、流れの影響も受けにくいメタルジグは、キャストしてリトリーブするコースが「線」になりやすい
これも、よく言えばコースやレンジが外れない、とも言え、悪く言えば、流れを利用した釣りがやりにくい、という事になる

荒れている時なんかはメタルジグでないとルアーが通せない場合もある
ヘビーシンキングペンシルは「流れ」の攻略になる
ヘビーシンキングペンシルは、表面積もメタルジグよりも広い
表面積が大きく、メタルジグと比べてると軽い比重になるという事は、流れに影響されやすいという事になる
少しの変化でも反応が大きく、ロッドを立てるとレンジが上の層に外れやすく、横からの流れが当たるとそのまま流される
良く言えば、レンジコントロールがし易く、流れに乗せたルアーの動きが演出できる
悪く言えば、レンジが外れやすく流れの影響を受けるため、狙いのコースやレンジから外れやすい
同じポイントを狙う時にメタルジグとヘビーシンキングペンシルの違いを出す
例えば、大きな離岸流があった場合、メタルジグでは底層のレンジとリトリーブするコースが外れにくい線の攻めを意識する
離岸流の脇のカケ下がりになった部分を徹底的に通す、というような使い方が出来る
同じ離岸流でも、ヘビーシンキングペンシルの場合は全く違った攻め方ができる
流芯に向かって投げ、ゆっくりとリトリーブする事で、流れに影響されやすい特性を活かし、流芯から自然に外れ、反転流に乗せる事が出来る
メタルジグの線の攻めでピンポイントを攻めた後でも、流れを利用したヘビーシンキングペンシルの攻め方でヒラメが釣れる事は多々ある
離岸流の脇のカケ下がりや溝をピンポイントでメタルジグで叩き、その後にヘビーシンキングペンシルで流芯から脇へ何度も流す、というスタイルで攻める事が多い
かなり時間が掛かり、同じ離岸流の狭い範囲を行ったり来たりしながら粘る事も多い
長い時は1時間くらい粘る事もあるが、遠浅サーフではしっかり叩きたいポイントでもあるので、メタルジグとヘビーシンキングペンシルでの長期戦は離岸流攻略では必須の攻め方と言える
まとめ
同じ飛距離が出るメタルジグとヘビーシンキングペンシルだが、特性は全く違う
同じポイントを攻めるとしても、全く違う使い方ができるため、オールレンジ対応の重量系ルアーで一括りに考えないようにしよう
特に遠浅サーフでヘビーシンキングペンシルでの流れの攻略が出来ると出来ないとでは、釣果の差にも表れる部分だ
メタルジグとヘビーシンキングペンシル、似て非なるルアーのそれぞれの特性を覚え、それを活かした攻め方でヒラメを攻略しよう